2024年04月01日
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三百字小説『ワニの王国』

Written By: 遠野秋彦連絡先

 僕はアリゲーターが多く生息するワニの王国の話を聞くと、冒険の旅に出ることにした。

 現地でガイドを雇ってジャングルの奥地に入っていった。

 「ここがアリゲーターが多く住むという伝説の沼地ね」とガイドが英語で言った。

 「ワニはどこだ?」

 「人が来たので警戒しているのよ。そのうちに出てくるヨ」

 「待ち遠しいな」

 その時ガイドが叫んだ。「ワニ! ワニ!」

 「ワニはどこだよ。どこにも見えないじゃないか」

 またガイドが叫んだ。「ワニ! ワニ!」

 「どこにもいないじゃないか!」

 その後で気付いた。

 彼が言っているのはワニではなくワーニング(警告)だった。

 気付いた時には、僕は底なし沼に首まではまっていた。

(遠野秋彦・作 ©2024 TOHNO, Akihiko)

遠野秋彦